国内重工業大手・株式会社IHIが2026年5月8日に発表した2026年3月期の本決算は、売上収益16,434億円(前期比+1.0%)、営業利益1,655億円(前期比+15.3%)、親会社帰属当期利益1,609億円(前期比+42.8%)と、いずれも過去最高を更新する内容でした。2024年3月期に営業損失701億円を計上したところからのV字回復が定着し、防衛・原子力エネルギー・民間航空エンジンの受注・売上拡大が過去最高益をけん引しています。株価は2026年2月に高値4,500円(分割調整後)をつけた後は調整局面。来期予想は営業利益2,400億円(+45.0%)と、さらなる最高益更新を見込みます。
※本記事はデータに基づきAIで作成した情報解説であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
0. そもそもどんな会社か――重工業・防衛・エネルギー
IHI(7013)は、東証プライム上場の国内大手重工業メーカーです。主な事業は:
- 資源・エネルギー・環境:石油・ガス開発向け機器、原子力プラント関連、CO₂削減技術
- 社会基盤:橋梁・水力発電・臨海プラント等のインフラ
- 産業システム・汎用機械:圧縮機・ターボ機械・ポンプなど
- 航空・宇宙・防衛:民間航空機エンジン部品、防衛装備品(レーダー・艦船等)
特に防衛と民間航空エンジンの成長が顕著です。IHIは米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の主力エンジンPW1100G-JM(エアバスA320neoファミリー向け)の国際共同開発・分担製造に参画しており、世界的な防衛支出の拡大と民間航空需要の回復が需要を支えています。
1. 2026年3月期決算サマリー
2026年5月8日に開示された本決算(IFRS・連結)の要点は次の通りです。
| 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 16,434億円 | 16,268億円 | +1.0% |
| 営業利益 | 1,655億円 | 1,435億円 | +15.3% |
| 税引前利益 | 1,854億円 | 1,384億円 | +33.9% |
| 親会社帰属当期利益 | 1,609億円 | 1,127億円 | +42.8% |
| 営業利益率 | 10.1% | 8.8% | +1.3pt |
| 基本的1株当たり利益(EPS) | 151.88円 | 106.41円 | +42.7% |
| 1株当たり年間配当(分割調整後) | 20.0円 | 17.1円 | +2.9円 |
ひとことで言えば、「ほぼ横ばいの売上ながら利益は大幅増、過去最高の営業益を達成」した決算です。売上が微増にとどまった一方で、営業利益は15%以上増加し、利益率も1.3ポイント向上しました。特に親会社帰属当期利益の増加(+42.8%)が大きいのは、収益力向上に伴う税効果の改善や、計画的な資産売却益が上乗せされたためです(税引前利益1,854億円に対し営業利益1,655億円と、営業外で約200億円のプラス)。
注記:2025年10月1日に普通株式1株を7株に分割(1:7)しています。本記事のEPS・BPS・1株当たり配当は、断りのない限り分割調整後(遡及)の数値です。前期(2025年3月期)の実際の年間配当は分割前ベースで120円(中間50円+期末70円)で、これを分割後に換算すると17.1円に相当します。
2. 営業赤字からのV字回復――業績トレンドという「現実」
過去3期の業績を並べると、2024年3月期の赤字からの劇的な回復ぶりがはっきり見えます。

- 2024年3月期:売上13,225億円、営業損失▲701億円(利益率▲5.3%)。構造改革費用や一時的な損失の計上が重なり、営業損失を計上しました。
- 2025年3月期:売上16,268億円、営業利益1,435億円(同+8.8%)。黒字に転換し、回復基調が鮮明に。
- 2026年3月期:売上16,434億円、営業利益1,655億円(同+10.1%)。過去最高の営業益を達成。原子力等エネルギー分野で過去最高の受注高を記録し、防衛・原子力の成長や資産売却益が構造改革費用をカバーしました。
注目すべきは、営業赤字から3期連続で営業利益が増加し、過去最高を更新した点です。背景には、防衛支出の拡大(地政学リスクの高まり)と民間航空需要の回復、そして原子力をはじめとするエネルギー需要の拡大があります。
セグメント別の内訳(2026年3月期)
| セグメント | 売上収益 | 営業利益(率) | 前期営業利益 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 資源・エネルギー・環境 | 3,767億円(△8.4%) | 59億円(1.6%) | 161億円 | 受注高は6,247億円(+69%)と過去最高だが、案件構成等で利益は減少 |
| 社会基盤 | 1,319億円(△9.7%) | 37億円(2.8%) | ▲42億円 | 黒字転換(利益率+5.7pt) |
| 産業システム・汎用機械 | 4,505億円(△7.1%) | 307億円(6.8%) | 108億円 | コスト構造改善で大幅増益(+199億円)。増益の主役 |
| 航空・宇宙・防衛 | 6,517億円(+17.3%) | 1,124億円(17.2%) | 1,227億円 | 売上は2桁増だが、円高方向の為替逆風(約▲187億円)で営業利益は▲103億円 |
ここは誤解されやすいポイントです。航空・宇宙・防衛は連結営業利益の約68%を稼ぐ最大の収益源で、売上も+17.3%と伸びていますが、報告セグメントの営業利益は前期比で減益(1,227→1,124億円)でした。これは主に為替(円高方向)の影響によるもので、会社は為替影響・一時要因を除いた「実力ベース」では航空エンジン事業の利益は伸長していると説明しています。一方、連結全体の営業利益の増加(+220億円)を実額で最もけん引したのは、コスト構造改革が効いた産業システム・汎用機械(+199億円)と、黒字転換した社会基盤(+79億円)でした。
3. 株主還元――配当は着実に増配トレンド
配当は減配ではなく、着実な増配が続いています。1:7分割をまたぐため見かけ上わかりにくいので、分割調整後の1株当たり年間配当でそろえると、推移は次の通りです(決算説明資料の配当推移より)。
| 年度 | FY2024/3 | FY2025/3 | FY2026/3 | FY2027/3(予想) |
|---|---|---|---|---|
| 1株当たり年間配当(分割調整後) | 14.3円 | 17.1円 | 20.0円 | 23.0円 |
- 配当金総額は前期の182億円から213億円へ増加(+16.7%)。金額ベースでも増配です。
- 配当性向は FY2025/3 の16.1%から FY2026/3 は13.2%へ低下しましたが、これは配当そのものを減らしたのではなく、利益の伸びが配当の伸びを上回ったためです。FY2027予想の配当性向は14.8%。
- 会社は説明資料で「安定的な配当成長と財務規律維持・向上の両立」を掲げ、1株当たり配当の持続的な成長を目指すと明言しています。
なお、FY2026/3の実際の支払いは「中間70円(分割前)+期末10円(分割後)」で、分割をまたぐため決算短信でも単純合算(年間合計)は表示されていません。上表は分割後ベースに換算した数値です。
4. 財政状態は良好――ROEと自己資本比率の向上
損益が強化される一方で、バランスシートも改善しています。
| 指標 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 24,286億円 | 22,404億円 | +1,882億円 |
| 親会社所有者帰属持分 | 6,522億円 | 4,817億円 | +1,705億円 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 26.9% | 21.5% | +5.4pt |
| 1株当たり親会社所有者帰属持分(BPS) | 615.23円 | 454.65円 | +35.3% |
| 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) | 28.4% | 26.3% | +2.1pt |
| EBITDA | 2,418億円(14.7%) | 2,156億円(13.3%) | +262億円 |
| 営業CF | 1,213億円 | 1,775億円 | △562億円 |
重要な指標として、親会社所有者帰属持分比率が21.5%から26.9%へ向上し、自己資本が充実してきました。ROEも28.4%と高水準を維持しています。これにより、防衛・航空エンジン・エネルギー事業への成長投資を賄える基盤が整いつつあります。なお営業キャッシュフローは1,213億円と前期(1,775億円)から減少しましたが、これは増益局面での運転資本の増加等によるもので、本業の資金創出力そのものは引き続き高い水準です。
5. 2027年3月期の業績予想――営業利益45.0%増、過去最高を更新へ
会社が示した2027年3月期の見通しは、今回の最高益をさらに上回る内容です。
| 指標 | 2027年3月期(予想) | 2026年3月期(実績) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 18,300億円 | 16,434億円 | +11.4% |
| 営業利益 | 2,400億円 | 1,655億円 | +45.0% |
| 税引前利益 | 2,300億円 | 1,854億円 | +24.0% |
| 親会社帰属当期利益 | 1,650億円 | 1,609億円 | +2.5% |
| 営業利益率 | 13.1% | 10.1% | +3.0pt |
| 基本的1株当たり利益 | 155.09円 | 151.88円 | +2.1% |
| 1株当たり年間配当(分割調整後) | 23.0円 | 20.0円 | +3.0円(配当性向14.8%予想) |
注目ポイント:
- 営業利益が2,400億円まで拡大:営業利益率も13.1%へ上昇し、IHI全体のマージン改善が続く計画。会社は民間エンジン・防衛の大幅な成長と、大規模な計画的資産売却を見込んでいます。
- 売上1兆8,300億円の大台:民間航空エンジン・防衛の受注拡大、エネルギー関連の需要が背景。
- 受注高は1兆7,600億円に減少予想:これは前期にエネルギー事業で計上した大型案件の反動であり、ビジネスサイクル上の動き。民間エンジン・防衛の受注は拡大が見込まれています。
- 営業利益は+45%でも当期利益はほぼ横ばい(+2.5%):営業利益が大きく伸びる一方で当期利益の伸びが限定的なのは、今期(FY2026)の当期利益に含まれた一過性の利益(税効果改善・資産売却益等)の反動と、税引前利益段階での増益率(+24.0%)の鈍化が主因です。「営業利益の伸び」と「最終利益の伸び」の差は、IHIの利益構造を読むうえでの注目点です。
6. 株価はどう動いてきたか
ここからはテクニカル(株価)の視点です。IHI(7013)の2023年以降の値動きを見てみましょう。ただし2025年10月1日の1:7株式分割の影響に注意。チャートは分割調整後の「調整後終値」で表示しています。

ストーリーは大きく4つの局面に分かれます(いずれも分割調整後の株価)。
- 2023年:低位もみ合い〜底値363円(2023-12) 業績低迷(営業赤字)で市場の評価が低い中、株価はおおむね500円前後から下落し、2023年12月14日に底値363円をつけました。出来高も細く、関心の薄い時期でした。
- 2024年:底打ちから反発(約400円→1,330円) 2024年初は396円。FY2024/3の営業損失(▲701億円)を織り込みつつも、市場が「業績は底打ち」と判断し始め、年を通じて反発。2024年末には1,330円付近まで回復しました。
- 2025年〜2026年初:防衛・原子力テーマで急騰(1,330円→4,500円)
- 2025年5月:FY2025/3決算(営業1,435億円で黒字転換)を受け上昇が継続。
- 2025年央〜後半:地政学リスクの高まりと各国の防衛支出拡大を背景に、防衛関連の有力株として買われ、9月末には約2,623円(分割直前)に。
- 2025年10月1日に1:7分割を実施。その後も上昇基調が続き、2026年2月10日に高値4,500円をつけました(底値363円からは約12倍)。
- 2026年2月中旬〜直近:高値からの調整(4,500円→2,694円) 高値圏で利益確定売りが優勢となり、調整局面入り。直近(2026年6月1日)の終値は2,694円で、ピークからは約4割安の水準です。値動きの荒さは、テーマ性の強い銘柄の特徴でもあります。
7. 業績の「現実」と株価の「思惑」をどう読むか(統合考察)
この銘柄の特徴は、業績は3期連続で改善・最高益を更新する一方、株価はテーマ性ゆえに期待の上げ下げが激しいことです。
- 業績:営業赤字から3期連続で増益、FY2027予想でも営業利益+45.0%。構造的な回復・成長軌道が確認される。
- 株価:底値363円(2023-12)から高値4,500円(2026-02)への約12倍の上昇後、調整で2,694円へ。現在はピークから約4割安の水準。
この値動きは、次のように整理できます。
- 株価は「防衛・民間エンジンテーマ」を強く織り込んできた:2025年の地政学リスク高まりと各国の防衛支出拡大を背景に、防衛関連の有力株として買われました。テーマ相場は期待先行で振れやすく、材料が出尽くすと買い圧力が一服しやすい性質があります。
- バリュエーションの目安:直近株価2,694円をFY2027会社予想EPS155.09円で割った予想PERは約17倍(今期実績EPS151.88円ベースでも約18倍)。赤字だった数年前とは異なり、利益に裏打ちされた水準で評価される局面に移っています(※PERは利益見通しが変われば大きく動く点に留意)。
- 1:7分割による流動性向上:2025年10月の分割で最低投資金額が下がり、個人投資家が参加しやすくなりました。売買が活発化した分、短期的な値動きは荒くなりやすい面があります。
つまり、「業績は確実に回復・成長しているが、株価は急騰の反動で調整局面にある」というのが、データから読み取れる現在地です。今後は、FY2027の会社予想(営業利益2,400億円)の実現度、防衛・民間航空エンジン需要の継続性、そして為替動向が、株価を左右する主要因になりそうです。
8. まとめ
- 2026年3月期は売上16,434億円、営業利益1,655億円(過去最高)、親会社帰属当期利益1,609億円(過去最高)。営業赤字(FY2024/3)からのV字回復が定着。
- 連結営業利益の約68%を稼ぐ最大の収益源は航空・宇宙・防衛(売上+17.3%)。ただし同セグメントの営業利益は為替逆風で前期比減益で、連結増益を実額でけん引したのは産業システム・汎用機械(+199億円)と黒字転換した社会基盤(+79億円)。
- 2027年3月期は営業利益2,400億円(+45.0%)、営業利益率13.1%と、さらなる過去最高を予想。売上18,300億円の大台も視野。一方で最終利益は+2.5%とほぼ横ばい予想。
- バランスシートも改善:自己資本(親会社所有者帰属持分)比率26.9%、ROE28.4%、EBITDA2,418億円(14.7%)。成長投資を賄える基盤が整った。
- 株価は底値363円(2023-12)→高値4,500円(2026-02)→調整2,694円(分割調整後)。急騰の反動で調整局面。
- 配当は分割調整後で着実に増配(FY2025/3 17.1円→FY2026/3 20.0円→FY2027予想23.0円)。配当性向14.8%予想と成長余地あり。
- 次の注目点:FY2027会社予想(営業利益2,400億円)の達成度、防衛・民間エンジン需要の継続性、為替動向。
出典・データの出どころ
本記事の数値・記述は、すべて以下の一次情報(会社の開示資料・公的データ)に基づいています。読者ご自身でも確認できるよう参照元を整理しました。金額は決算短信・決算説明資料の表示(IHIは億円・百万円表記)に基づき、本文では一部を億円・%に丸めています。
① 決算の数値・経営方針(最重要) 株式会社IHI(証券コード7013・東証プライム)の適時開示。 – 「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年5月8日開示) → 売上・営業利益・税引前利益・当期利益・財政状態・キャッシュフロー・配当・1株当たり情報・FY2027予想・1:7株式分割の注記は、本短信から直接抽出。 – 「2025年度(2026年3月期)決算説明資料(IFRS)」(2026年5月8日開示) → セグメント別の売上・営業利益、営業利益の増減要因分析、株主還元方針(分割調整後の配当推移)は本資料から抽出。 – 「2025年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2025年5月8日開示) → 2024年3月期の実績値(営業損失▲701億円、売上13,225億円等)の根拠。 – IR資料室(決算短信・決算説明資料の一覧):https://www.ihi.co.jp/ir/library/statements/
② 株価・出来高 – みんかぶ(https://minkabu.jp/stock/7013/)の日次データ(2023年1月4日〜2026年6月1日、調整後終値ベース)。 チャートの安値・高値・出来高・直近値はこのデータに基づく。分割調整後の「調整後終値」を使用し、分割日(2025年10月1日)での段差を解消。
③ 補助データ・参考 – J-Quants v2 API(財務サマリー)…四半期・通期の実績をクロスチェックする補助データとして利用。 – IHI公式IRページ:https://www.ihi.co.jp/ir/
補足:本記事の「業績推移」「株価」チャートは、①の決算短信PDF(数値抽出)と②の株価データから作図したものです。1:7株式分割(2025年10月1日効力発生)の影響は、チャート・EPS・配当等に反映済み(分割調整後の数値)。
本記事は事実・データに基づきAIで作成した情報解説であり、特定銘柄の売買を推奨・助言するものではありません。とりわけ本銘柄は地政学リスク・業界サイクル双方の影響を受ける防衛関連企業であり、市場環境・事業受注の不確実性を含みます。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。


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